介護現場の人手不足を解消するためには、まず人材の確保と育成が第一である。2017年に介護報酬の改定がされたり、1万円の給料上乗せが対策として実施されたが、離職率は上がっていく一方である。介護業界の業績は年々上がっているのに、その利益が介護者にまわっていかないのはおかしな話である。介護は重労働なのでそれに見合った報酬が与えられて当然である。営利目的ではなく、公共事業として介護業界を立て直していかないと、今後さらに押し寄せる高齢化の波に飲み込まれてしまう危険がある。それにはやはり人材重視の現場でなくてはならない。介護に対して高い志や目標も持つ若者のために、介護資格取得のための無利子の奨学金や、介護職に長く従事したら返済不要の奨学金などが実施、検討されている。
また、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの外国人介護者の受け入れ問題が上手く進んでいけば、人手不足解消の一端となる。現在、介護用語を統一したり、各所で実習なども行われているので期待が高まっている。しかし、人に対するサービスなのでこちらも資格取得が容易ではない。規制の緩和が必要という声も上がっている。
労働時間が長いこともまた問題の1つだ。2015年には1日の労働時間が10時間を超える介護者がいる施設が60パーセント以上に及んだ。正規職員でなくても、そういった勤務を強いられることもある。それでは離職するのも当然といえる。行政の速やかな介入や改善が待たれている。